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韓国特許法等の一部改正案の国会通過

韓国特許法、並びに不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律の一部改正案が2018年12月7日に韓国国会を通過しました。

1.損害賠償額の拡大(いわゆる、懲罰的な損害賠償責任の導入)

 他人の特許権(専用実施権を含む)、又は営業秘密を故意に侵害した者の損害賠償責任が、従来の規定にて算定される金額の最大3倍まで拡大されることになります。
 また、改正法律では、侵害者の故意の有無を判断する際に考慮されるべき事項として、ⅰ)侵害者が優越的な地位を有するかどうか、ⅱ)故意、または損害発生の可能性を認識した度合、ⅲ)侵害行為により権利者が受けた被害の規模、ⅳ)侵害行為により侵害者が得た経済的利益、ⅴ)侵害行為の期間や回数等、ⅵ)侵害行為により課せられた罰金、ⅶ)侵害者の資産状態、ⅷ)侵害者が行った被害者への救済努力の度合、が列挙されています。
 本改正によりますと、権利者にとっては、比較的少額の損害を受けた場合であっても、積極的に権利行使ができるようになり、侵害者にとっては、侵害行為についてより慎重になるという効果が予想されます。

2.特許侵害訴訟における立証責任の転換

 特許侵害訴訟において、特許権者又は専用実施権者が主張する侵害行為の具体的な態様に対し、それを否認する侵害被疑者は、自分の具体的な実施態様を提示しなければならなくなります。
 侵害被疑者が正当な理由なしに自分の具体的な実施態様を提示しなかった場合には、特許権者又は専用実施権者の主張する侵害態様をそのまま認めることが可能になります。

3.営業秘密の要件緩和、及び罰則の拡大

 また、改正の不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律では、営業秘密の保護を強化するために、営業秘密の要件を緩和し(「‧‧合理的な努力により秘密が維持されてきた‧‧」→「‧‧秘密として管理されてきた‧‧」)、他にも、営業秘密侵害行為への罰則が大幅に強化されました。

 

 以上の改正法律案は、韓国政府より未だ公布されていませんが、通常、国会通過後1ヶ月前後の時点にて公布されます。また、本改正法律案の場合、公布後6ヶ月となる日より施行される予定ですので、上記の改正内容は2019年7月頃より適用される見込みです。

本欄の担当
副所長・弁理士 吉田千秋
韓国弁理士 柳光煕(ユ・ガンヒ)
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