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韓国特許庁が新技術分野に関する審査ガイドラインを発表

2021年1月19日に韓国特許庁より、AI、IoT、バイオ等のデジタル新技術分野に関する特許審査実務ガイドラインが、その事例とともに発表されましたので、その主なポイントについてご案内申し上げます。

  1. AI(人工知能)の分野

 AI関連発明の明細書の記載要件等に関する基準が明確にされており、例えば、バイオインフォマティクス(bioinformatics)の事例では、AIのアルゴリズムにより新薬候補物質を探索しスクリーニングを行う方法が記載されており、その新薬候補物質についてスクリーニングされた物質の新薬としての効果が具体的な実験結果として明細書に記載されていれば、当該AIアルゴリズムは、「新薬候補物質をスクリーニングする方法」として特許の対象になるとされています。

 但し、従来に知られた新薬候補物質の新しい用途への効果が、シミュレーション・モデリング(in silico)により確認されただけで、目標とした疾患に対する実際の治療効果が実験例として明細書に記載されていなければ、当該物質の新しい用途としての発明(用途発明)は認められないと、示されました。

  1. IoT(Internet of Things)の分野

 進歩性の判断において、発明の効果やIoTサービス分野の特徴を考慮して、判断基準の緩和が示されています。

 具体的には、副引例に開示された構成(集められる情報)自体は、出願発明と同一であるものの、そのサービス分野が出願発明や主引例と異なる事例において、副引例は、出願発明とは課題が相違し、更に、その集められる情報の活用意図や用途が出願発明とは関連性がないことから、出願発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者にとって、サービス分野の異なる主引例と副引例を組み合わせる動機や理由が存在するとは言い難い、とされています。

 今回のガイドラインは、発表以降の審査基準として用いられるようになります。韓国特許庁は、今後も、例えば、自律走行や知能型ロボットといった新しい技術分野の審査需要を更に発掘し、ガイドラインを制作する予定としています。

 なお、上記の韓国語での情報は、

https://www.kipo.go.kr/kpo/BoardApp/UnewPress1App?a=&board_id=press&cp=&pg=&npp=&catmenu=m03_05_01&sdate=&edate=&searchKey=&searchVal=&bunryu=&st=&c=1003&seq=18684

から入手することができます。

本欄の担当
所長 弁理士 伊東 忠重
副所長 弁理士 吉田 千秋
担当:韓国弁理士 柳 光煕
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