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On-Sale Bar(販売による新規性の喪失)に関する米国最高裁判所判決

(Helsinn Healthcare S.A. v. Teva Pharmaceuticals USA, Inc. (Supreme Court, January 22, 2019))

2019年1月22日付で、米国最高裁判所(以下「最高裁」)により、On-Sale Bar(販売による新規性の喪失)に関する判決が出されました。

 リーヒ・スミス・米国発明法(AIA)による米国特許法102条(a)(1)には、「クレームされた発明の有効出願日前に、当該発明が特許され、印刷刊行物に記載され、又は公然使用、販売、若しくはその他の形で公衆に利用可能であった」場合に当該発明は特許を得ることができない、と定められている。今回の判決において最高裁は、発明を秘密に保つことを契約上義務付けられている第三者への発明の販売は、特許法102条(a)(1)の下での「販売」に該当する、との長年確立した解釈を維持した。

 Helsinn Healthcare S.A.(以下“Helsinn”)はスイスの製薬会社であり、化学療法により誘発される吐き気及び嘔吐を抑制する薬であるAloxiを製造している。HelsinnはAloxiの有効成分であるパロノセトロンを開発する権利を1998年に取得した。その後、Helsinnは、米国で医薬品を販売しているミネソタ州の製薬会社MGI Pharma、Inc.(MGI)とライセンス契約並びに供給及び購入契約を締結した。HelsinnとMGIとが契約を締結してから約2年後の2003年に、Helsinnはパロノセトロンに関する仮出願を出願した。Helsinnはその後、この2003年の仮出願への優先権を主張する米国特許第5,898,949号を侵害しているとして、Teva Pharmaceuticals USA, Inc. (Teva)に対する特許侵害訴訟を提起した。裁判においてTevaは、Helsinnによる仮出願よりも1年以上前にクレーム発明が販売されたため、特許は無効であると主張した。地方裁判所は、AIAの下では、販売によりクレーム発明が公衆に利用可能となった場合を除き、発明は「販売」されていないと結論付けた。これに対し、連邦巡回控訴裁判所は地方裁判所の判決を覆し、On-Sale Barが適用されると判決した。Helsinnは最高裁に上訴した。

 最高裁は、秘密の販売によって特許が無効になるとの判断を連邦巡回控訴裁判所が長年にわたり維持してきたこと、更にその結論は最高裁の過去の判決にも黙示的に示されていたこと、に言及した。AIA法においては「若しくはその他の形で公衆に利用可能であった」という包括的な文言が追加されており、これにより「販売」の意味を変えるという議会の意図が示されているとHelsinnは主張したが、最高裁はこの主張を棄却した。最高裁は、条文に列挙された項目に明確に適合しない対象を含めることを意図して包括的文言が追加されているのであり、法律上の「販売」の長年確立した意味を変更する意図で追加されたのではない、との結論を示した。

本件記載の判決文は以下のサイトから入手可能です。
本欄の担当
副所長 弁理士 吉田 千秋
米国オフィスIPUSA PLLC:米国特許弁護士 Herman Paris
米国特許弁護士 有馬 佑輔

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