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韓国意匠法の一部改正

韓国の改正意匠法が公布されましたので、その主な内容についてご案内申し上げます。なお、係る改正法は、20231221日より施行されます。

 

1.改正の主な内容

(1)関連意匠の出願可能期間の拡大

 現行法では、本意匠の出願日より1年以内に関連意匠出願を済ませる必要がありましたが、改正法によると、改良デザイン等の保護拡大への要望に沿い、本意匠の出願日より3年以内であれば関連意匠出願が可能となります。

 改正法の附則によると、施行日(20231221)以降の関連意匠出願より改正規定が適用されますので、20221221日以後に行った意匠出願を本意匠とした関連意匠出願について「3年」の拡大期間が適用されることになります。

 

(2)新規性喪失例外の主張等に関する時期的制限の削除

 現行法でも、権利取得前であれば、殆どの場合、新規性喪失例外の主張等が可能でありましたが、改正法では、係る時期的制限に関する条文自体が削除されることにより、例えば、権利範囲確認審判や侵害訴訟の段階において過去の公知事実により権利性を否定された場合にも、新規性喪失例外を主張することにより、相手より侵害を免れられるのを回避することが可能となります。

 但し、施行日(20231221)以降の意匠出願より改正規定が適用されますので、係る法改正の効果(審判又は訴訟において侵害を免れられるのを回避)が享受できるのは、20231221日以後に行った意匠出願が登録された後となります。

 

(3)優先権主張に関する出願人便宜の拡大

 他に、改正法によると、意匠出願における優先権主張に関して、国際的調和の観点から、

i)正当な理由により、期間内に優先権主張ができなかった場合は、係る期間を2ヶ月延長、

ii)正当な理由により、期間内に優先権証明書類が提出できなかった場合は、係る期間を2ヶ月延長、

iii)出願日より3ヶ月以内に、優先権主張の補正や追加が可能となります。

 

2.コメント

 今回の法改正により、韓国でも関連意匠の出願可能期間が延ばされましたが、日本(本意匠の出願日より10年以内)に比べると、未だ顕著に短いため、韓国へ意匠出願をされる際には、この点につき留意が必要です。

 また、韓国では、改正法でも依然として関連意匠にのみ類似する関連意匠については登録を受けられないので、この点についてもご留意下さい。

 

 一方、新規性喪失例外に関しては、現行法でも、特許よりも広い時期に主張可能でしたが、今回の法改正により、緩かった時期的制限自体すらなくなり、権利行使の段階においても新規性喪失例外を主張可能となったことは、注目すべき立法であると考えます。

 

 上記の韓国語での情報は、

https://www.law.go.kr/LSW/lsInfoP.do?lsiSeq=251881&lsId=&efYd=20231221&chrClsCd=010202&urlMode=lsEfInfoR&viewCls=lsRvsDocInfoR&ancYnChk=0#

から入手することができます。

本欄の担当
伊東国際特許事務所
所長・弁理士 伊東忠重
副所長・弁理士 吉田千秋
(担当: 韓国弁理士 柳光煕(ユ・ガンヒ))
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