最新IP情報
インド実施報告義務(Statement of Working)
2024年3月15日付けでインド特許法規則(改正)が施行されておりますが、実施報告義務(Statement of Working)の提出期限につき、インド特許庁より公式発表がございました。以下ご報告申し上げます。
1.概要
(1) 提出頻度
新規則下では、「特許が付与された年の直後に始まる会計年度より起算し、3会計年度に1度の提出」となりました。
※インドの会計年度:4月1日~3月31日
(2) 提出期限
新規則下では、3会計年度の満了後6か月以内、つまり3会計年度目が終了する年の4月1日から9月30日の間に提出が必要となります。
(3) 提出期限延長
新規則下では、申請書(Form4)を提出し、所定の庁費用(1か月延長で約USD 122)を納付することで、実施報告義務(Statement of Working)の提出期限を最長3か月まで延長することが可能です(規則131(2)に基づく延長)。さらに、申請書(Form4)を提出し、所定の庁費用(1か月延長で約USD 596)を納付することで、最長6か月まで延長することが可能です(規則138に基づく延長)。
例:延長前期限 2026年9月30日…①
・規則131(2)に基づく延長 2026年12月30日まで延長可能…②(①+3か月)
・規則138に基づく延長 2027年6月30日まで延長可能(②+6か月)
(4) 報告内容の簡素化
新規則下では、報告内容が簡素化されています。
・「実施済」の場合:特許の性質、使用範囲、インドで発生した収益に関するコメントに関する報告は不要となりました。
・「未実施」の場合:報告書フォーム上に、未実施の理由に関し選択肢が用意されています。
・新規項目:ライセンス可能か、YES/NOで回答する欄が新設されました。
2.提出期限
新規則は2024年3月15日付けで効力を生じ、遡及効を有しません。
(1) 2022年3月31日までに特許となった案件
・2023年9月30日までに、2022年4月1日~2023年3月31日の会計年度(以降、「FY2022-2023」のように記載)につき提出済
※FY2022-2023の報告について、新規則下で3会計年度の一部として提出することはできず、旧規則に基づいて2023年9月30日までに提出されていることが必要になります。
・次回提出期限:2026年4月1日~2026年9月30日
(FY2023-2024、2024-2025、2025-2026の報告)
※FY2023-2024以降の報告については、旧規則ではなく新規則が適用されます。
(2) 2022年4月1日~2023年3月31日に特許となった案件
・初回提出期限:2026年4月1日~2026年9月30日
(FY2023-2024、2024-2025、2025-2026の報告)
※FY2023-2024以降の報告については、新規則が適用されます。
(3) 2023年4月1日~2024年3月31日に特許となった案件
・初回提出期限:2027年4月1日~2027年9月30日
(FY2024-2025、2025-2026、2026-2027の報告)
(4) 2024年4月1日~2025年3月31日に特許となった案件
・初回提出期限:2028年4月1日~2028年9月30日
(FY2025-2026、2026-2027、2027-2028の報告)
3.3会計年度の終了前に権利満了日を迎える場合
上記の通り、3会計年度毎の提出となりますが、権利満了後の存在しない会計年度を数えて3年待つことはできません。以下、権利満了日が2025年3月31日より前に到来する場合を例にご説明申し上げます。
(1) 権利満了日:2023年4月1日~2024年3月31日に到来
2024年9月30日までに、FY2023-2024の報告書を提出する必要があります。
(2) 権利満了日:2024年4月1日~2025年3月31日に到来
2025年4月1日~2025年9月30日の間に、FY2023-2024、2024-2025の報告書を提出する必要があります。
4.単会計年度の報告
上記1~3とは別に、2023年3月31日までに特許となった案件につきましては、2024年9月30日までにFY2023-2024の実施報告義務(Statement of Working)を提出することができます。この場合、次回提出期限は2027年4月1日~2027年9月30日となります(FY2024-2025、2025-2026、2026-2027の報告)。
弊所にて実施報告義務(Statement of Working)の期限管理をさせて頂いている案件につきましては、本年7月より個別にご案内・単会計年度分の報告書提出要否をお伺いさせて頂いております。
単会計年度分の報告書提出をご希望される場合は、お早めにご指示を賜りますと幸いです。
- 本欄の担当
- 弁理士法人ITOH
所長 弁理士 伊東 忠重
副所長 弁理士 吉田 千秋
担当:弁理士 野崎 圭子