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オーストラリア特許庁費用改定
オーストラリア特許庁は2024年10月1日より庁費用を改定する旨の発表を致しました。本稿では特許を中心にご報告申し上げます。
概要
主な改定は以下の通りです。
※6th-19th anniversaryと記載されており、オーストラリアのカウント方法ですと第6~19年度となります。上表は、弊所でご案内を差し上げる際の年次に変換させて頂いております。 なお、オーストラリア特許の年金は4th anniversary(弊所でいう第5年度)からになります。4th、5th anniversaryの庁費用に変更はございません。
<クレーム超過費用>
オーストラリア特許では、クレーム数が20を超える場合にクレーム超過費用が発生し、現在は登録料と併せてクレーム超過費用を納付します。
2024年10月1日以降に審査請求がなされた案件につきましては、クレーム超過費用を納付するタイミングが以下の通りとなります。庁費用の変更はございません(クレーム数:21~30の場合、AUD 125/追加クレーム、クレーム数:31以上の場合、AUD 250/追加クレーム)。
①第一段階:最初の審査官レポート(the first examination report)発行日から1か月以内
・クレーム数20を超える分を納付する。
②第二段階:特許許可公告日(the date of advertisement of acceptance)から3か月以内
・最初の審査官レポート発行後、審査段階の最大クレーム数と比較して、第一段階から増項した分を納付する。
(特許許可公告発行時のクレーム数に基づくのではありません)
新制度下では、現行制度と比較してクレーム超過費用が高額になる場合が生じます。
(例1)
・最初の審査官レポート発行時のクレーム数=23
→超過3クレーム分について超過費用を納付
庁費用(AUD):125×3=375
・その後、クレーム数が増え、審査段階の最大クレーム数=25
→超過2クレーム分について超過費用を納付
庁費用(AUD):125×(25-23)=250
※第一段階+第二段階で納付するクレーム超過費用=AUD 625
(現行制度と比較して、総額は変わらない)
(例2)
・最初の審査官レポート発行時のクレーム数=23
→超過3クレーム分について超過費用を納付
庁費用(AUD):125×3=375
・最初の審査官レポート後の審査段階で、補正によりクレーム数=30
・その後、さらに補正によりクレーム数=25
・特許許可公告発行時のクレーム数=25
→審査段階の最大クレーム数30と比較して、超過7クレーム分について超過費用を納付
庁費用(AUD):125×(30-23)=875
※第一段階+第二段階で納付するクレーム超過費用=AUD 1,250
(現行制度と比較して、AUD 625高く納付することになる)
(例3)
・最初の審査官レポート発行時のクレーム数=23
→超過3クレーム分について超過費用を納付
庁費用(AUD):125×3=375
・その後、補正によりクレーム数=19
・特許許可公告発行時のクレーム数=19
→クレーム超過費用なし
※第一段階+第二段階で納付するクレーム超過費用=AUD 375
(現行制度と比較して、AUD 375高く納付することになる)
審査段階でのクレーム超過費用納付を避けるために、
・2024年10月1日より前に審査請求を行う または
・最初の審査官レポート発行前に自発補正によりクレーム数を減らす
ことが考えられます。
オーストラリア特許庁では、最初の審査官レポート発行の6か月前に、出願人に通知を送付し、クレーム数を減らす機会を与えるよう努めるとのことです。
オーストラリア特許庁のWebサイトでも、最初の審査官レポート発行時期(おおよその時期)を確認することが可能です。
https://www.ipaustralia.gov.au/about-us/our-customer-promise/timeliness
(「Patents service levels→Patent response times→Expected wait times」ご参照)
- 本欄の担当
- 弁理士法人ITOH
所長 弁理士 伊東 忠重
副所長 弁理士 吉田 千秋
担当 弁理士 野崎 圭子