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令和6年上半期の税関における知的財産侵害物品の差止状況について ~令和4年10月1日施行の関税法改正を踏まえて~
財務省より、令和6年9月6日に「令和6年上半期の税関における知的財産侵害物品の差止状況」が公開されました。税関における侵害物品の差止めに関して、注目すべき点をピックアップしてご報告させていただきます。
令和6年上半期の輸入差止件数は、18,153件であり、昨年の上半期15,616件よりも増加し、過去最多となりました。
令和6年上半期の輸入差止件数中、郵便物が87.4%(15,866件)、一般貨物が12.6%(2,287件)の割合となっており、いずれも、昨年同時期と比較して増加傾向にあります。
令和3年5月に改正された商標法及び意匠法において、海外の事業者が模倣品を郵送等により日本国内に持ち込む行為について、権利侵害行為となることが明確化されました(令和4年10月1日施行)。これを踏まえて、令和4年3月に関税法が改正され、海外の事業者が郵送等により日本国内に持ち込む模倣品が、「輸入してはならない貨物」として、税関の取締りの対象となりました(令和4年10月1日施行)。
これまでは、個人使用目的の場合は、取り締まり対象ではありませんでした。しかし、改正により、個人で使用する場合であっても、海外の通販サイトで商品を購入した場合など、海外の事業者から送付される物品が模倣品(商標権又は意匠権を侵害するもの)である場合、税関による没収の対象となります。
水際での模倣品の取り締まりを強化できるようになりましたので、ご参考になれば幸甚でございます。
※本記事は、グラフ及び数値を以下の資料から引用のうえ、作成しております。
出典:財務省ウェブサイト 「令和6年上半期の税関における知的財産侵害物品の差止状況」
(URL:https://www.mof.go.jp/policy/customs_tariff/trade/safe_society/chiteki/cy2024_1/index.html)
『令和6年上半期の税関における知的財産侵害物品の差止状況(全体版)』
(https://www.mof.go.jp/policy/customs_tariff/trade/safe_society/chiteki/cy2024_1/ka20240906c.pdf)
出典:特許庁ウェブサイト 「海外からの模倣品流入への規制強化について」
(URL:https://www.jpo.go.jp/news/kokusai/mohohin/kisei.html)
●令和6年上半期の輸入差止件数が1万8千件を超え、前年同期と比べて16.2%増加し、過去最多
(「令和6年上半期の税関における知的財産侵害物品の差止状況(詳細)」P.2より抜粋)
●仕出国(地域)別:中国からの輸入差止件数が引き続き最多
中国が81%、ベトナムが8.9%、マレーシアが3.1%、韓国が2.7%の順となっています。
●知的財産別輸入差止実績
偽ブランド品などの商標権侵害物品が17,334件、前年同期比15.2%増で、全体の94.5%を占めています。輸入差止点数では、商標権侵害、特許権侵害、著作権侵害がそれぞれ30%強を占めています。
●侵害物品
輸入差止件数でみますと、衣服が32%でもっとも多く輸入差止めされています。輸入差止点数では、煙草・喫煙用具 24.2%、衣類6%、医薬品 5%となっており、健康や安全を脅かす危険性のある物品の輸入差止めも継続されています。
詳細については、財務省ウェブサイト『令和6年上半期の税関における知的財産侵害物品の差止状況(全体版)』特許庁ウェブサイト「海外からの模倣品流入への規制強化について」をぜひご参考になさってください。