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米国特許商標庁(USPTO)による特許証発行までの期間短縮措置、及び意匠出願の早期審査手続の停止について
- 米国特許商標庁(USPTO)による、特許証発行までの期間短縮措置
2025年5月13日より、米国特許商標庁(USPTO)は特許証発行までの期間を短縮する措置を実施します。オンラインプラットフォームであるPatent Centerを通じた電子特許証(eGrants)の発行、および冗長性の削減により、特許証発行通知(Issue Notification)から発行日までの期間が短縮されました。
これまで特許証発行通知から特許証発行日までの期間は平均3週間程度でしたが、これを約2週間に短縮することで、より早期に特許権者が市場に参入できるようになります。
今回の措置により特許証発行通知から特許証発行日までの期間を短縮することで、特許出願人はQuick Path Information Disclosure Statement(Quick Path IDS)を提出する必要がなくなる可能性があります。また、特許証の早期発行により、発明に対する保護をより早く受けられるようになります。
継続及び分割出願は、MPEP 211.01(b)第I項の規定に従い、親出願の係属中(親出願が特許として成立する(発行)前)に提出される必要があります。従いまして、親出願の係属状態を確保するために、特許証発行手数料を支払う前或いは同時に継続及び分割出願を提出することが望ましいと考えます。尚、e-Office Actionプログラムに参加しない出願人については、特許証発行通知が届く前に特許証が発行される場合があります。
- 意匠出願の早期審査手続の停止
詐欺的行為の防止および未審査の意匠出願の係属期間と未審査の意匠出願数の削減を図る取り組みの一環として、米国特許商標庁(USPTO)は、2025年4月17日より意匠出願に対する早期審査手続を停止します。
近年、意匠出願の早期審査請求は560%もの急増を見せており、その大部分は不正な出願によるものとの背景があります。
この停止措置は、誤ったマイクロエンティティ認定に対処するためのUSPTOの取り組み、および知的財産システムへの脅威を軽減・防止するためのより広範な取り組みを支援するものでもあります。
発効日である2025年4月17日以降に提出された(再請求を含む)意匠出願の早期審査請求は、いずれも認められません。発効日以降に提出された請求に関して支払われた手数料は、USPTOにより返金されます。
本稿のUSPTOの情報は以下のサイトから入手可能です:
https://www.uspto.gov/about-us/news-updates/uspto-suspend-expedited-examination-design-applications
- 本欄の担当
- 弁理士法人ITОH
所長 弁理士 伊東 忠重
副所長 弁理士 吉田 千秋
担当: 弊所米国オフィスIPUSA PLLC
米国特許弁護士 有馬 佑輔