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特許庁 「仮想空間上の物品画像」及び「生成AI技術の発達を踏まえた意匠の保護」について、これまでの議論をまとめ、仮想物品画像の実施行為の整理に加え、生成AIによる意匠のさらなる実態把握を提案 ~第20回 産業構造審議会知的財産分科会意匠制度小委員会~
2025年6月30日に特許庁は、第20回産業構造審議会知的財産分科会意匠制度小委員会を開催しました。以下のとおり、概要を報告申し上げます。
概要
1.これまでのJPOでの議論
JPOにおいて、昨年末より検討が行われている「仮想空間における物品画像の保護」及び「生成AI技術の発達を踏まえた意匠の保護」について、これまでの議論の整理の報告がありました。
(1) 仮想空間における物品画像の保護
仮想空間上の物品画像について、現行意匠法における操作画像及び表示画像に加え、仮想物品等の形状等を表した画像を保護対象とする改正を行う方向で検討することになりました。
(2) 生成AI技術の発達を踏まえた意匠の保護
法的論点を整理し、(a)意匠該当性、(b)創作者、(c)引用意匠適格性及び(d)新規性喪失の例外について優先的に検討することになりました。
2.仮想空間における物品画像の保護
<本委員会での検討テーマ>実施行為について
◆実施行為は、現行意匠法と同様とし、その対象は、(a)立体形状を有し、(b)仮想物品としての用途及び機能を備えていることが必要とし、侵害か否かは、仮想物品等の用途及び機能に基づき類否判断を行うこと、検討を進めるにあたり、有識者やデザイン創作に関わるステークホルダーに対して、補充のヒアリングを実施して、実態把握を行うことが提案されました。
<主な議論>
・画像は個人でも作成可能なため、「業として」の整理が必要ではないか。
・実施における「使用」の概念について、ヒアリングで明確にすべきではないか。
・クリアランス負担に関して、仮想空間上の背景画像の取扱いも検討が必要ではないか。
3.生成AI技術の発達を踏まえた意匠の保護
<本委員会での検討テーマ>論点整理
◆(a)意匠該当性、(b)創作者、(c)引用意匠適格性及び(d)新規性喪失の例外に係る法的論点の検討を進めるにあたり、有識者やデザイン創作に関わるステークホルダーに対して、補充のヒアリングを実施して、実態把握を行うことが提案されました。
<主な議論>
・生成AIを利用したか否かを直接的に要件や基準とはしない点に賛成。
・「AI自律デザイン」自体の定義が必要ではないか。
・クリエイター側の意識としても、このような議論は大切。
4.まとめ
今回の議論を踏まえて、次回(夏~秋ごろ)以降も引き続き検討していくこととなりました。
意匠制度小委員会の資料等につきましては、特許庁WEBページの下記URLをご参照ください。
https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/isho_shoi/index.html
- 本欄の担当
- 弁理士法人ITOH
所長・弁理士 伊東 忠重
意匠部 部長・弁理士 北代 真一