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米国特許商標庁による自動調査パイロットプログラムの開始に関して (2025年10月8日)

米国特許商標庁(以下USPTO)は2025年10月8日に、AIが自動生成した先行技術調査の結果を審査前に特許出願人に提供するパイロットプログラムの導入を公表しました。USPTOが提供する調査結果(Automated Search Results Notice(ASRN))には、関連性の順にランク付けされた最大10件の文献のリストが含まれます [1])。USPTOは、調査結果により、審査の実体審査が開始される前に、出願人が先行技術に対するクレームを評価し、(i)予備的補正を提出する、(ii)宣誓供述書の実施のための証拠を収集する、(iii)審査の延期を請求する、(iv)調査手数料の返還を求めるために出願を放棄する、などの措置を検討する機会が提供されると説明しています[2])

 

 なおUSPTOの説明によれば、審査官は、適切な調査分野における先行技術調査を行いながら、庁調査ファイルにおける他の文献を検討するのと同様に、ASRNに列挙されたAI自動生成による文献を検討します。

 

 このプログラムに参加するには、出願人は出願日に、37CFR 1.17(f)に規定された手数料(現在は450ドル)と共に、様式PTO/SB/470を使用した申請書を提出する必要が有ります。申請書は、2025年10月20日から2026年4月20日まで提出することができ、対象となる出願は、第111条(a)に基づいて提出されたリイシュー出願でなく、仮出願でない、非継続性出願に限定されます[3])。USPTOは、各テクノロジーセンターについて最大200件の出願がパイロットプログラムに受け入れられると説明しています[4])

 

 調査の質が不明であり、また調査結果に伴う実質的な分析が提供されないことを考慮致しますと、この450ドルという手数料がパイロットプログラムへの参加に見合っているかどうかについては、要検討であると考えられます。

 

 このパイロットプログラムの公式通知は、以下のリンクで確認できます。

https://www.federalregister.gov/documents/2025/10/08/2025-19493/automated-search-pilot-program

 

[1])USPTOは、ASRNが様式PTO-892(引用文献通知)と同様の様式であると説明しています。

[2])調査が審査前処理の後に行われると説明されていますが、調査結果が審査のどの程度前に出願人に提供されるかについては、具体的に示されていません。

[3])35U.S.C.第371条に基づく国内移行出願、植物出願、意匠出願、再発行出願、継続出願、分割出願及び一部継続出願はパイロットプログラムへの参加から除外されます。

[4])USPTOがそのウェブサイトを定期的に更新し、テクノロジーセンターごとに承認された申請の数を公表すると説明されています。

本欄の担当
弁理士法人ITOH
所長 弁理士 伊東 忠重
副所長 弁理士 吉田 千秋
担当: 弊所米国オフィスIPUSA PLLC
米国特許弁護士 Herman Paris
米国特許弁護士 有馬佑輔

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