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【速報】USPTO「Streamlined Claim Set Pilot Program」導入のお知らせ
10月27日に米国特許商標庁(USPTO)は、特許審査の迅速化を目的とした新たなパイロットプログラム「Streamlined Claim Set Pilot Program」を導入すると発表しました。本プログラムは、請求項数の少ない出願(独立請求項1項以下、全請求項10項以下)を対象に、早期審査(特別取扱い)を付与する制度です。受理された出願は、最初のOffice Actionが発行されるまで審査順を繰り上げて取り扱われます。
■ プログラム概要
・独立請求項1項以下、全請求項10項以下の特許出願 (Utility Patent Application)が対象
・受理された出願は初回OAまで特別取扱い
■ 申請対象
・原出願(original)かつ非継続(noncontinuing)の米国特許 (Utility) 出願(35 U.S.C. 111(a))
- PCT国内段階出願(35 U.S.C. 371)は対象外
- 継続出願・分割出願・CIP出願、意匠(Design)出願は対象外
・出願日がFederal Register掲載日(2025年10月27日)より前であること
・すでに審査官にアサイン済みの場合、申請は原則受理されない
■ 主な要件
- 請求項構成
- 独立請求項:1項以下
- 総請求項数:10項以下
- 複数従属請求項(マルチクレーム)は不可
- 全従属項は独立項と同一カテゴリー(同一法的対象)である必要あり
※申請と共にまたは申請前に提出した自発補正書により条件を満たしてもよい
- 申請書式
- Form PTO/SB/472 を使用(Patent Center経由で提出)
- 申請手数料:USD150 (37 CFR 1.17(h))
- 発明者制限
- 発明者または共同発明者が、本プログラムによる申請を他の3件を超えて行っていないこと
- 申請書でこの点を宣誓する必要がある
- ファイル形式要件
- 出願時の明細書・請求項・要約はWord DOCX形式で提出済みであること
- 非公開請求(nonpublication request)
- 提出済みの場合は、申請時までに撤回が必要
■ 取扱いの範囲
・特別取扱いは初回Office Action発行まで有効
・初回OA後は通常審査スケジュールに戻る
・請求項数等の要件を満たさなくなった場合、特別取扱いは解除
■ プログラム期間
・2025年10月27日(Federal Register掲載日)から12か月間、または
各技術センターで約200件が受理されるまでのいずれか早い方
・USPTOの判断により早期終了の可能性あり
■ その他留意点
・申請が却下されても申請手数料は返還されない
・審査官がRestriction/Electionが必要だと判断した際、電話連絡がある。電話応答での選択を5日以内にできない場合、審査官はRestriction/Electionを発行。その場合、特別取扱いの効力は無くなる
■ コメント
本プログラムは、審査官リソースの効率化および審査期間短縮効果の検証を目的としています。要件を満たす案件では、通常のPrioritized Examination(Track One)より低コストで迅速な審査が期待されます。
このパイロットプログラムの公式通知は、以下のリンクで確認できます。
- 本欄の担当
- 弁理士法人ITOH
所長 弁理士 伊東 忠重
副所長 弁理士 吉田 千秋
担当: 弊所米国オフィスIPUSA PLLC
米国特許弁護士 Herman Paris
日本国弁理士 菊池 陽
