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米国CAFC判決 Eolas Technologies Inc. v. Microsoft Corp.事件

 2004年3月2日に、米国特許発明の一部の構成部分の輸出が米国特許権の侵害に当たるか否か(米国特許法第271条(f)(1) = 特許発明の構成要素の全て又は本質的部分を、米国内若しくは海外へ許可なく供給し、又は供給せしめた者は、そのような構成要素が、全体もしくは部分的に組み立てられていないものの、米国内で組み立てられるような状態にあり、もし米国内で組み立てれば特許権を侵害するものである場合、侵害の責めを負うという問題についてのCAFC判決が出されました。
 原告であるEOLASは、Computer program product に関する米国特許権を有しています。一方、被告であるMicrosoftはその特許発明の要部であるsoftware code を含むgolden master disksを外国へ輸出しました。この行為、すなわち米国内で生産し外国へ輸出されたsoftware codeは、特許法第271条(f)(1)に規定する「特許発明の構成部分」に該当するか否かが問題となりました。
 この問題について、Microsoft は、「特許法第271条(f)(1)に規定する「特許発明の構成部分」は物理的機械に限定されるべきである。」と主張しました。
 CAFCの判断は要約すると以下の通りです。:
 特許法第271条(f)(1)には、機械や物理的構造に限定する旨の記載は無い。発明のあらゆる形態でのいかなる構成部分であっても特許法第271条(f)(1)の保護を受けることができる。Golden master disks 上のSoftware codeは特許発明のkey partであり、特許法第271条(f)(1)に規定する構成部分に含まれる。
 Software codeを要部に含むComputer program product (日本でいう記録媒体)について米国特許権を取得することにより、Software に対して特許法第271条(f)に基づく侵害を追求する可能性が示唆されていると考えられます。なお、本件は地裁へ差し戻されました。

判決全文は以下のURLから入手可能です。
本欄の担当
弁理士 大貫進介
弁理士 吉田千秋
弁理士 伊東忠重
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