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DNA関連特許の特許適格性に関する米国最高裁判決 (Association for Molecular Pathology v. Myriad Genetics, Inc.) 2013年6月13日

 2013年6月13日、米国最高裁判所(以下、「最高裁」)において、DNA関連特許の特許適格性に関する判決が出ました。
 今回の最高裁判決は、単離された遺伝子自体については特許適格性を認めない見解を示すと共に、自然界のDNAから、アミノ酸をコードしていない領域を除去したcDNA (相補的DNA)については、自然界のDNAとは異なるとして、特許適格性を認める見解を示しました。以下にその概要を紹介致します。

背景

 Myriad社は、BRCA1, BRCA2の2つの遺伝子の場所と配列を発見し、これに関連する特許を取得していた。Myriad社の取得した特許の内US5,747,282に記載されたクレーム2では、BRCA1ポリペプチドをコードするcDNAが記載されており、cDNAには、アミノ酸をコードしないイントロンの配列を除去し、アミノ酸をコードするエクソンの配列のみを記載していた。しかし、同特許のクレーム1には、自然界に存在する、単離されたBRCA1遺伝子のDNAを記載していた。
 複数の団体が、ニューヨーク地裁に対して、同特許は特許適格性を有さないとして無効を求める提訴を行ない、地裁では、上記クレームは特許適格性を有さない、とする判決が下された。
 これを不服として、Myriad社は連邦巡回控訴裁判所(CAFC)に控訴した。CAFCは、自然界の存在する単離されたDNAは特許適格性を有する、との見解を示すと共に、cDNAについても特許適格性を有すると判示した。同CAFC判決を受けて、最高裁に上告されていた。
 最高裁はPrometheus判決後に、同判決を考慮して本事件を再審理するよう、CAFCに差し戻したが、CAFCは再審理においても同じ判決を下していた。

今回の最高裁判決

 最高裁は、CAFC判決を一部支持し、cDNAに関する組成物クレームは特許適格性を有するとの判決を下したが、自然界に存在する単離されたDNAに関しては、特許適格性を有さないとの判決を下した。
最高裁は、単離を行なったとしても、自然界に存在するDNAの断片は自然物であり、特許適格性を有さない、との見解を示した。また、cDNAは自然界に存在しないことから特許適格性を有する、との見解を示した。
 また、自然界に存在する、単離されたDNAに関して、Myriad社はBRCA1, BRCA2遺伝子にコードされた遺伝子情報を作り出すことも、変更することもしておらず、遺伝子の場所や配列はMyriad社による発見以前から存在していた、との見解を示した。
 尚、最高裁は、同特許のクレームには化学組成に関する記載が無く、単離による化学的変化を考慮していない、との見解に基づき、単離されたDNAは体内における化学的結合が断ち切られている為自然界に存在するとは言えない、とのMyriad社による反論を受け入れないとする見解を示した。
 また、cDNAに関するクレームに関しては、cDNAのエクソンも自然界に存在すると認定しつつも、cDNAからはイントロンが除去されている為、体内(自然界)におけるDNAとは異なり、自然物とは認定できないとして、特許適格性を有するとの見解を示した。

以上

本欄の担当
副所長・弁理士 吉田 千秋
米国オフィスIPUSA PLLC 米国特許弁護士 Herman Paris
同 米国パテントエージェント 有馬 佑輔
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