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米国最高裁判決 KSR事件

KSR事件 発明の非自明性判断基準をめぐる事件に対し米国連邦最高裁が判決

■2007年4月30日 米国最高裁判決

 2007年4月30日、米国最高裁は、特許発明の非自明性(進歩性)の判断をめぐり争われてきたKSR事件( KSR International社対Teleflex社事件)に判決を下しました。
 特許発明の非自明性の判断については、1966年にGraham v. John Deere Co.の米国最高裁判決において、判断基準が示されて以来、最高裁で本格的に自明性の判断基準が争われたことはなく、長い間CAFCでは、従来技術を組み合わせることに対するteaching, suggestion, or motivation(TSMテスト)が必要だという独自のルールで自明性の判断をしてきました。
 これに対して、従来技術を単に組み合わせただけの発明でも特許になってしまうのでは、企業での製品開発にも支障が生じ、また特許調査に費用がかかりすぎる等の問題点が最近特に指摘されていたところです。
 本事件では、第一審で、複数の文献を組み合わせて自明性の判断をするにあたり、地裁は「引用文献中に組み合わせについての示唆や動機が含まれていなくても,当業者の技術常識に基づいて組み合わせを容易と判断できる」と判示した(“Flexible Standard”)のに対し、CAFCは「組み合わせの動機や示唆についての記載ないし証拠が引用文献中に必要である」(”Rigid Standard”)と判示しており、最高裁では何れの判断基準又はその折衷案が採用されるのかが注目されていました。
 今般、最高裁は、CAFCのTSMテストに基づく自明性判断は狭過ぎ、自明性の判断はTSMテストだけでは判断できないとして、CAFCの判決を破棄し差し戻す旨の判決を下しました。今後、この最高裁が示した見解は議論を呼びそうですが、自明性の判断が現在よりも厳しくなることが予想されています。

判決文は以下のURLから入手可能です。
本欄の担当
弁理士 大貫進介
弁理士 吉田千秋
弁理士 伊東忠重

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