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中国、特許出願の遅延審査のガイドラインが公表されました。

2023830日に中国国家知識産権局(CNIPA)は、2019111日に施行された改正審査指南により導入された遅延審査制度における特許出願の遅延審査のガイドラインを公表しました。 主な概要は以下の通りです。

 

1.遅延審査の請求時機

 出願人が実体審査請求をすると同時に、『実体審査請求書』中の「遅延1年」、「遅延2年」、「遅延3年」のいずれかにチェックする。

 

2.遅延審査の効果

 発明特許出願について審査待ちにできる期間は、遅延審査請求がされて効力を生じた日から1年、2年又は3年である。発明特許出願の遅延審査請求は、実体審査請求が効力を生じた日(実体審査段階への移行日)から効力を生じる。

 実体審査請求をする時期を遅らせつつ遅延審査請求をすれば、発明特許出願では、出願日(優先権主張がされている場合は優先日、分割出願の場合は親出願の出願日、PCT出願の場合は国際出願日)から最長で6年間審査着手を遅らせることができる。

 

3.遅延審査の留意事項

 発明特許出願について遅延審査請求をするには、実体審査請求をすると同時にしなければならない。

 発明特許出願について遅延審査がされて延長されるのは、実体審査段階に移行した後の審査待ちの期間であり、審査手続中のその他の期間には影響しない。

 中国特許庁は、必要と認めるときは、自ら審査手続を開始して、出願人が請求した遅延審査の終了を出願人に通知することがある。

 

4.遅延審査のメリット

(1)発明特許出願にペンディング中であり、かつ複数パターンに補正が可能な請求項を利用することで、競合他社による関連分野の技術開発を牽制して、競合他社の市場参入の経済的コストや時間的コストを増大させられる。

(2)国際標準、国家標準、業界標準などが策定中である場合、請求項の保護範囲に適切な補正をして、関係標準とのベンチマーキングをする機会が得られる。

(3)実験データの補充、コンピュータ分野における記憶媒体、プログラム製品の保護などのような最新の審査政策の変更の恩恵を受ける機会が得られる。

(4)製品のライフサイクル、市場動向の変化などに応じて、審査手続を継続するか否かを検討できる。

(5)特許の市場化展開に合わせて、権利化時期を調整できる。

 

 なお、特許出願の遅延審査のガイドラインの詳細(中国語)は、https://www.cnipa.gov.cn/module/download/down.jsp?i_ID=187106&colID=1567 にて入手することができます。

本欄の担当
本欄の担当
伊東国際特許事務所
所長・弁理士 伊東忠重
副所長・弁理士 吉田千秋
担当:中国弁理士 張小珣
翻訳:中国チーム 弁理士 畠山 敏光

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