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欧州意匠制度改正 フェーズ2がスタート[2026年7月1日]

欧州において、2026年7月1日に、欧州意匠制度改正の第2段階(フェーズ2)が施行されました。

1.欧州意匠制度改正は、(1)意匠保護の現代化、明確化及び強化、(2)意匠保護の利便性の向上、(3)欧州商標規則との調和及び(4)域内での、スペアパーツ保護の調和を目的としています。

定義の改正等、実質的な改正は第1段階(2025年5月1日)で行われ、第2段階では、施行規則や委任規則等の手続の詳細が改正されました。実務上重要なポイントも含まれていますので、下記に主な改正点を紹介します。

2.フェーズ2の主な改正点
(1)図面数の上限の変更
図面数の上限がこれまでの7図から10図に変更されました。

(2)意匠を表す複製物の多様化
動的な複製物を表すデータ形式での提出が可能となります(3Dファイル:OBJ、STL、動画ファイル:MP4)

(3)図面の軽微な不備の補正・変更が可能に
① 出願中の図面の補正(withdrawal and amendment)
 庁からの不備の指摘及び自発による「非本質的な細部」の補正について、フェーズ2で手続規定が設けられたことにより、いつでもできるようになりました。
② 登録後の意匠図面の変更(alteration)
 登録された意匠についても、登録期間中又はその更新時において、「非本質的な細部」の図の変更ができるようになりました。

(4)製品の表示
 「製品の表示」について、ロカルノ分類の1のクラス及びサブクラスに分類できるように明確かつ正確に特定しなければならないとする規定が、フェーズ2から開始されました。
 これまでは、「ロカルノ分類の1のクラスのみに分類できるよう」とされていました。

(5)無効請求の簡略化
① 無効手続における優先審査の導入
無審査登録制度の対抗措置として、違法に登録されたものを効率的に無効とできるよう、係争中の権利者が異議を申し立てていない場合、欧州連合知的財産庁(EUIPO)は、優先的に決定を行う規定が設けられました。

② EU商標(EUTM)の無効手続きとの調和
 無効申請に含めるべき内容や、要件、オンラインソースからアクセス可能な証拠の提出方法、期間の計算や延長等の手続において、EU商標との調和が図られました。

3.実務への影響等
 欧州へは、これまで図面の数が最大7図という限定があり、大きな制限となっていました。10図までと拡大された点は、歓迎すべきです。
 なお、変化する画像意匠等、10図であっても十分ではない可能性もあります。この点について、欧州ではアニメーション等は動画による出願も可能となりましたが、日本では、動画による出願が認められていませんので、優先権を考慮した場合の意匠の同一の取り扱い等課題がある点にも留意が必要です。

(関連サイト:EUIPOによる「EU リフォーム フェーズ2」の案内)
https://www.euipo.europa.eu/et/news/the-modernised-eu-design-legal-framework-is-now-fully-applicable

 

本欄の担当
弁理士法人ITOH
所長・弁理士 伊東 忠重
意匠部 部長・弁理士 北代 真一