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特許料の未納により消滅した特許権の回復要件の緩和

知識財産処(旧特許庁)は、特許料の未納により消滅した特許権の回復要件を緩和する内容の「特許法一部改正案」が、2026年8月20日に国会本会議を通過したと発表しました。同様の趣旨の実用新案法およびデザイン保護法の改正案も併せて通過しました。

1.特許権の回復要件の緩和
従来は、特許料を期限内に納付できず特許権が消滅した場合、コロナ隔離やシステムエラー等のような「正当な事由」が立証されなければ、権利回復が認められませんでした。
今回の改正では、このような権利回復要件を緩和し、特許料の未納が「故意によるものでない場合」には、所定の追加手数料を納付することにより特許権を回復できるようにしました。従って、権利回復の流れは以下のとおりとなります。

当該改正は、政府による公布(国会通過後15日以内に公布)後6か月を経過した日から施行される予定であり、改正による権利回復に必要な手数料の具体的な金額については、今後、総理令で定められる予定です。

2.特許法条約(PLT)加入に向けた制度整備
今回の改正は、韓国の特許法条約(PLT:Patent Law Treaty)加入に向けた制度整備の一環として進められました。知識財産処は、今回の権利回復要件の緩和を皮切りに、今後、優先権主張期間(12か月)を徒過した場合にも優先権を回復できる制度等、特許法条約への加入に必要な規制緩和を順次進め、下位法令の改正および情報システムの改編等を経て、2029年までに特許法条約に加入する予定です。

3.示唆点
外国出願人および権利者の立場からは、海外本社、現地代理人等の間の連絡や管理の過程で生じた単純な錯誤により韓国における特許料の納付期限を徒過した場合にも、権利を回復できる可能性が従来よりも拡大するという点で意義があります。特に、韓国以外の国において多数の特許権を一括して管理している外国企業の場合、期限管理上の単純なミスにより韓国特許権を喪失するリスクが緩和されることが期待されます。
また、今回の改正は、米国・日本等の主要国が加入している特許法条約(PLT)の国際基準に適合させるための制度整備の一環であることから、今後、優先権回復等の他の特許手続においても、外国出願人にとってより馴染みのある国際的な基準に適合する制度が導入されることが予想されます。
但し、権利回復時に納付すべき追加手数料の具体的な金額および詳細な手続については、今後、総理令等の下位法令で定められる予定であるため、実際の施行時期と併せて、関連する下位法令の改正内容を確認する必要があります。

本欄の担当
弁理士法人ITOH
所長・弁理士 伊東 忠重
副所長・弁理士 吉田 千秋
担当:韓国弁理士 金 世永