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中国意匠審査の暫定措置

2023年1月4日付けで中国国家知識産権局(CNIPA)は、2023年1月11日から施行される意匠審査の暫定措置として公告第510号(部分意匠及び意匠の国内優先権主張などの審査業務)及び公告第511号(ハーグ協定加入後の審査業務)を公布しました。

 公告第510号は、2021年6月1日に施行した『改正後の特許法の施行に伴う関係審査業務の処理に関する暫定規則』(公告第423号)の改訂、公告第511号は2022年5月5日に施行した『ハーグ協定加入後の関係業務の処理に関する暫定規則』(公告第481号)の改訂となります。

 当該2つの暫定措置の内容は、以下の通りです。改訂前からの主な変更箇所にアンダーラインを付し、新設及び変更の別を記載いたしました。

 

『改正後の特許法の施行に伴う関係審査業務の処理に関する暫定規則』

(公告第510号)

 

第1条 特許出願人は、2021年6月1日(当該日を含む。以下同じ。)から紙形式又は電子形式により、特許法第2条第4項に従って、製品の部分の保護を求める意匠特許出願を提出することができる。

 

 部分意匠特許を出願する場合においては、製品全体の正投影図を提出し、かつ、保護を必要とする内容を点線・破線、実線の組合せ又はその他の態様により示さなければならず、保護を求める部分が立体形状を含むときは、提出する正投影図に当該部分を明確に表すことのできる立体図を含めなければならない。製品全体の正投影図において保護を必要とする内容を点線・破線、実線の組合せの態様により示さないときは、簡単な説明において保護を求める部分を明記しなければならない。(新設)

 

第2条 この規則の施行の日から、出願日が2021年6月1日後である特許出願について、出願人は、特許法第24条第1号に規定する事由があると認めるとき、紙形式又は電子形式により請求をすることができる。国家知識産権局は、新たに改正される特許法実施細則の施行後にこれらの出願について審査を行う。

 

第3条 出願日が2021年6月1日後である意匠特許出願について、出願人は、特許法第29条第2項に従って、意匠特許の国内優先権を主張する書面による申立てを提出することができる。

 

 意匠特許の出願人は、国内優先権を主張する場合において、先の出願が意匠特許出願であるときは、同一の主題について意匠特許出願をすることができる。先の出願が発明特許出願又は実用新案特許出願であるときは、図面に表されたデザインについて同一の主題に係る意匠特許出願をすることができる。(新設)

 

 意匠特許の出願人が国内優先権を主張したときは、その先の出願は、後の出願がされた日から取り下げられたものとみなすが、意匠特許の出願人が発明特許出願又は実用新案特許出願をもって国内優先権の基礎とすることを主張したときは、この限りでない。(新設)

 

第4条 出願日が2021年6月1日後である特許出願について、出願人は、特許法第30条に従って、最初に提出した特許出願書類の謄本を提出することができる。

 

第5条 2021年6月1日から権利付与の公告に付された発明特許について、特許権者は、特許法第42条第2項に従って、特許権の権利付与公告の日から3ヵ月以内に紙形式により特許権の期間の補償請求をし、事後に国家知識産権局が発送する納付通知に従って関係手数料を納付することができる。国家知識産権局は、新たに改正される特許法実施細則の施行後にこれらの請求について審査を行う。

 

第6条 特許権者は、2021年6月1日から特許法第42条第3項に従って、新薬販売許可請求が承認を得た日から3ヵ月以内に紙形式により特許権の期間の補償請求をし、事後に国家知識産権局が発送する納付通知の求めに従って関係手数料を納付することができる。国家知識産権局は、新たに改正される特許法実施細則の施行後にこれらの申請について審査を行う。

 

第7条 この規則の施行の日から、特許権者は、特許法第50条第1項に従って、紙形式又は電子形式により自ら希望してその特許の実施の開放許諾を申し立てることができる。国家知識産権局は、新たに改正される特許法実施細則の施行後に2021年6月1日後に提出されたこれらの申立てについて審査を行う。

 

第8条 この規則の施行の日から、被疑侵害者は、特許法第66条に従って、紙形式又は電子形式により国家知識産権局に特許権評価報告書の作成を請求することができる。

 

第9条 2021年6月1日から、国家知識産権局は、特許法第20条第1項、特許法第25条第1項第5号に従って、方式審査(予備審査)、実体審査及び拒絶査定不服審判の手続中の特許出願について審査を行う。

 

第10条 出願人は、国家知識産権局がこの規則に従って下した関係査定等について不服があるときは、法に基づき行政不服審査の申立てをし、拒絶査定不服審判を請求し、又は行政訴訟を提起することができる。(新設)

 

第11条 出願日が2021年5月31日(当該日を含む。)の前である意匠特許権の保護期間は10年とし、出願日から起算する。

 

第12条 この規則は、2023年1月11日から施行する。2021年6月1日から施行した『改正後の特許法の施行に伴う関係審査業務の処理に関する暫定規則』(国家知識産権局第423号公告)は、同時に廃止する。

 

『ハーグ協定加入後の関係業務の処理に関する暫定規則』

(公告第511号)

 

第1条 2022年5月5日から、中国の団体又は個人は、特許法第19条第2項の規定により『工業品意匠の国際登録に関するハーグ協定』(1999年版)(以下『ハーグ協定』という。)に基づき、工業品意匠の国際登録出願をすることができる。

 

 出願人は、直接に世界知的所有権機関の国際事務局(以下「国際事務局」という。)に対し工業品意匠の国際登録出願を提出することができ、国家知識産権局を通じて英語を使用してする工業品意匠の国際登録出願を送付することもできる。

 

 国家知識産権局を通じて工業品意匠の国際登録出願を送付するときは、『ハーグ協定』及び国家知識産権局で定めるところに適合する紙形式又は電子形式により関係資料を提出しなければならない。

 

 『ハーグ協定』で定める関係手数料は、出願人が直接に国際事務局に対し納付するものとする。

 

第2条 『ハーグ協定』に従って既に国際登録日を認められ、かつ、中国を指定する意匠の国際登録出願(以下「国際意匠出願」という。)は、国家知識産権局に対しなされた意匠特許出願とみなし、当該国際登録日は、特許法第28条にいう出願日とみなす。(新設)

 

第3条 国際意匠出願について、国家知識産権局は、特許法、特許法実施細則、特許審査指南及びこの規則に従って処理する。

 

 この規則の施行の日から、国家知識産権局は、国際意匠出願に国内出願番号を付与して、審査をし、審査の結果を国際事務局に通報する。(新設)

 

 国際意匠出願に審査をして拒絶の理由を発見しなかったときは、国家知識産権局は、保護を与える旨の査定を下し、国際事務局に通報する。(新設)

 

 国際意匠出願に審査をして特許法及び同法実施細則の関係規定に適合しないことを発見したときは、国家知識産権局は、国際事務局に対し拒絶の通報を発送する。(新設)

 

第4条 国際事務局が公表した国際意匠出願にデザインの要点を含む説明書が含まれるときは、既に定めに従って簡単な説明が提出されたものとみなす。(新設)

 

第5条 国際意匠出願については、出願人は、応答する際に中国語を使用して陳述する意見を提出しなければならず、出願書類に補正をするときは、英語を使用しなければならない。(新設)

 

第6条 国際意匠出願については、国家知識産権局は、優先権主張料を徴収しない。(変更)

 

 出願人は、優先権を主張する場合において、国際意匠出願をする際に先の出願に係る出願書類の謄本を提出しなかったときは、その出願の国際公表の日から3ヵ月以内に国家知識産権局に対し先の出願に係る出願書類の謄本を提出しなければならない。

 

3 先の出願に係る出願書類の謄本に記載された出願人と後の出願の出願人とが一致していないときは、出願人は、その出願の国際公表の日から3ヵ月以内に国家知識産権局に対し関連のある証明書類を提出しなければならない。

 

4 出願人が、期間が満了しても先の出願に係る出願書類の謄本を提出しなかったか、又は関連証明書類を提出しなかったときは、優先権の主張がなかったものとみなす。国際意匠出願について優先権の主張がなかったものとみなされたときは、特許法実施細則第6条の規定は、適用しない。(新設)

 

第7条 国際意匠出願の出願人は、拒絶の通報に応答し、拒絶査定不服審判の請求をし、又はその他の特許事務を行うときは、特許法実施細則で別に定める場合を除き、特許法第18条第1項の規定に適合しなければならない。(新設)

 

第8条 国際意匠出願の出願人は、その出願の国際公表の日から2ヵ月以内に国家知識産権局に対し分割出願をすることができる。

 

 出願人は、拒絶理由に従って分割出願をするときは、遅くとももとの出願の国内公告日から2ヵ月以内にしなければならない。この期間の満了後、又はもとの出願が既に拒絶され、若しくはもとの出願が取り下げられたものとみなされ、かつ、権利が回復されなかったときは、原則として、さらに分割出願をすることはできない。(新設)

 

第9条 出願人は、国際意匠出願に係る意匠に特許法第24条第2号又は第3号に掲げる事由があると認めるときは、国際意匠出願をする際に申立てをし、かつ、その出願の国際公表の日から2ヵ月以内に国家知識産権局に対し関連証明書類を提出して、説明をしなければならない。申立てをしなかったか、又は証明書類を提出しなかったとき、その出願については、特許法第24条の規定は、適用しない。

 

第10条 出願人は、国際意匠出願に関連する手数料を納付するときは、国際事務局及び国家知識産権局の定めるところに従って国内出願番号又は国際登録番号により十分な額を納付しなければならない。国際意匠出願の個別指定料の納付基準は、『国家知識産権局の意匠特許年金、個別指定料に関連する事項に関する公告』に基づき実施する。(新設)

 

第11条 国際意匠出願の出願人又は特許権者は、権利の変更を請求する場合、国際事務局に対し関係手続をするほか、さらに、国家知識産権局に対し証明書類を提出しなければならない。証明書類が外国語のものであるときは、中国語による書誌の訳文も同時に添付しなければならない。証明書類を提出しなかったか、又は証明書類が十分なものでなかったときは、国家知識産権局は、当該権利の変更が中国において効力を生じなかった旨を国際事務局に通報する。

 

第12条 国際意匠出願が権利付与の公告に付された後、国際意匠出願の出願人は、国家知識産権局に国際意匠出願に係る特許登録簿の謄本の交付を請求し、中国において保護が与えられた旨の証明とすることができる。(新設)

 

第13条 国際意匠出願に係る無効審判請求の審査手続において、中国本土に住所がない特許権者に対しては、郵送、ファクシミリ、電子メール、公告等の方法を用いて書類を送達することができる。公告を用いて送達するときは、公告の日から1ヵ月が満了して既に送達されたものとみなす。(新設)

 

第14条 出願人は、国家知識産権局がこの規則に従って下した関係査定等について不服があるときは、法に基づき行政不服審査の申立てをし、拒絶査定不服審判を請求し、又は行政訴訟を提起することができる。(新設)

 

第15条 国際意匠出願の出願人は、この規則に定める以外のその他の法律上の手続及び事務を行うときは、『ハーグ協定』、特許法及び同法実施細則、特許審査指南の定めるところにより請求をしなければならない。

 

第16条 この規則は、2023年1月11日から施行する。2022年5月5日から施行した『「ハーグ協定」加入後の関係業務の処理に関する暫定規則』(国家知識産権局第481号公告)は、同時に廃止する。

 

 なお、意匠審査の暫定措置の詳細(中国語)は、以下のリンクにて入手することができます。

『改正後の特許法の施行に伴う関係審査業務の処理に関する暫定規則』(公告第510号)

https://www.cnipa.gov.cn/art/2023/1/5/art_74_181248.html

『ハーグ協定加入後の関係業務の処理に関する暫定規則』(公告第511号)

https://www.cnipa.gov.cn/art/2023/1/5/art_74_181249.html

本欄の担当
伊東国際特許事務所
所長・弁理士 伊東 忠重
担当:意匠部部長・弁理士 木村 恭子
中国弁理士 張 小珣
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