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韓国特許法等の一部改正について

 韓国特許法および実用新案法の一部改正法律案が、2013年2月26日に韓国国会にて可決され、同年3月22日に公布されました。今般の韓国特許法および実用新案法の改正法は、2013年7月1日に施行される見込みです(但し、一部規定においては、2013年3月22日に施行されています)。
 主要な改正点は、次の通りです。

1.特許出願(実用新案出願を含む、以下同様)の回復機会を拡大

 出願人の責に帰することができない理由により、審査請求または再審査請求の期間が徒過した際に、その理由がなくなった日から2ヶ月以内に、当該審査請求または再審査請求を行うことにより、消滅していた特許出願を回復できるようになりました。但し、その請求期間の満了日から1年が経過した場合は、当該特許出願を回復できることはできません。
 韓国特許庁の公開した資料によりますと、ここで、「出願人の責に帰することができない理由」とは、「天災地変による交通・通信の途絶」に加えて、例えば、訴訟書類の誤送(郵便配達員から郵便物の伝達を頼まれた者が当事者に伝達しなかった場合など)、無権代理人が訴訟を遂行し、判決正本を送達された場合など、「出願人が一般的にやらなければいけない注意を尽くしたにも係らず、その期間を遵守することができなかった場合」も含まれるとのことです。
 その他、手続きが無効になって消滅した特許出願および特許料の不納によって消滅した特許出願または登録特許(登録実用新案を含む)についての既存の救済規定においても、その期間要件が前述の新設規定と同様になりました。
 改正の趣旨は、出願人の権利保護を強化し、便益を拡大することにあります。
 適用対象は、2013年7月1日以降に出願した特許出願となります。

2.新規性・進歩性判断時、先行技術に含まれる電気通信回線の範囲を拡大

 現行法では、新規性・進歩性判断時において先行技術に含まれる電気通信回線の範囲は、大統領令が定める一定の電気通信回線、すなわち、政府、国公立大学、国公立研究機関、特許情報関連の業務を遂行する機関等が営む回線に限られていましたが、改正法では、かかる先行技術の範囲が、すべての電気通信回線に拡大されました。
 改正の趣旨は、インターネットの普及が拡大されている現実を反映することにあります。
 適用対象は、2013年7月1日以降に出願した特許出願となります。

3.手数料の返還対象を拡大

 現行法では、出願人が出願後1ヶ月以内に特許出願を取り下げ又は放棄した場合、既に納付した出願料と審査請求料を返還してもらうことができました。
 改正法では、それに加えて、優先権主張の申請料も返還してもらえることになりました。
改正の趣旨は、出願人の便益を拡大することにあります。
 適用対象は、2013年7月1日以降に出願した特許出願となります。

4.その他

(1) 分割・変更出願人における優先権主張証明書類の提出期間および正当権利者における審査請求可能期間の合理化(施行日:2013年3月22日)
(2) 法律の条文においては明確でなかったところを、実務上の解釈に合わせて、その条文を明確化
  ―特許を受ける権利が共有である場合の出願要件(施行日:2013年3月22日)
  ―意見提出期間内に複数の補正が行われた場合、最後の補正のみを認定
   (適用対象:2013年7月1日以降の出願)

以上

本欄の担当
韓国弁理士 柳光煕(ユ・ガンヒ)
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