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オーストラリア改正知財法について
2013年4月15日より、豪州において、Intellectual Property Laws Amendment (Raising the Bar) Act 2012が施行されます。この法改正により、特許権を得るために満たすべき基準が上げられる等、豪州での知的財産権関連の法律及びプラクティスに様々の修正が施されます。
現行法では、進歩性は、豪州において存在する周知の一般的知識を背景として判断すると定められています。今回の法改正では、この「豪州において」という地域的制限が削除されます。その結果、全世界での周知の一般的知識が対象になります。
また現行法では、進歩性の判断において使用可能な従来技術は、「当業者が関連性有りと確定し、理解し、認識したであろう情報」であるとされていましたが、この改正法ではこの文言が削除されています。但し、文献が関連性有りと理解され認識されるものであるか否かということは、進歩性の通常の判断に当然に含まれるものである、との説明が法改正の際になされており、全く関連性のない文献を進歩性判断に使用できるようになるわけではありません。
その他にも、Utility要件や明細書の記載・実施可能要件等も含め、様々な知的財産権の法律について改正が行われます。
特許出願に改正法が適用されるか否かは、当該特許出願の審査請求の日付によって決まります。審査請求が2013年4月15日前(具体的には4月12日(金)迄)になされた出願に対しては、旧法が適用されます。また審査請求が4月15日(月)及びそれ以降になされた出願に対しては新法が適用されます。
このように、2013年4月12日(金)迄に審査請求された出願には、特許権を得るために満たすべき基準が上げられる前の現行法が適用されますことにご留意下さい。
以上
- 本欄の担当
- 副所長・弁理士 吉田 千秋